糖尿病
糖尿病とは、体を動かすエネルギー源である糖(ブドウ糖)を細胞が取り込めなくなり、血液中に溢れてしまう病気です。
健康な人なら、インスリンというホルモンがしっかり働き、血液中の糖を細胞に送り込んでエネルギー源にしたり、あるいは脂肪やグリコーゲンという物質に変えて蓄えたりします。このインスリンが足りなくなったり、足りていてもうまく細胞に作用しなくなったりした状態が糖尿病(耐糖能異常)です。
糖尿病の治療
糖尿病は現在のところ、完治させることはできません。ただ、糖尿病そのものは治せなくても、血糖値を正常に保ち、糖尿病による合併症(目、神経、腎障害や人工透析、足部壊疽の合併症)を起こさずに健康を維持することは十分に可能です。そして血糖値を正常に保つ上で重要になるのが、継続的な“コントロール”です。医師の指導のもと、まずは食事療法と運動療法を行います。これだけでコントロールが良好になる患者様もいらっしゃいます。糖尿病が進行したり、食事・運動療法だけでは十分コントロールできなくなった場合には、薬物療法(薬の内服やインスリン注射)を行うことになります。
高血圧の治療
まず行うべきは、上記のような高血圧の危険因子を知って、その上で適正な体重にし、適度な運動を継続的に行い、減塩に努めるなどの生活習慣の改善(食事・運動療法)を心がけることです。
また、医師から薬を処方されたら、指示通りにしっかりと飲むことも大切です。
一度薬を飲み始めたら、一生やめられないと思っている方が少なくないようですが、食事・運動療法の継続により改善されてくれば、薬の量を減らしたり、やめたりすることも可能です。一度降圧薬を服用し始めたら飲み続けなくてはいけないと考えるのではなく、薬がやめられるように日頃から生活習慣の改善を心がけ、それを継続することが大切なのです。
脂質異常症は動脈硬化の危険因子
日本人の死因の第2位と3位を占めているのは、狭心症や心筋梗塞などを含めた心臓病と、脳出血や脳梗塞などの脳卒中です。これらはどちらも、主に動脈硬化が原因となって起こる血管の病気です。死因の第1位は「がん」ですが、心臓病と脳卒中を合わせると総死亡の約30%を占めるので、動脈硬化を防いでこれらの疾患を予防することは、とても重要です。
さらに動脈硬化は、高血圧を悪化させたり、腎臓病などの原因になったりします。
動脈硬化というのは、心臓から体の各部分へと血液を運ぶ血管である動脈が硬くなる状態です。動脈の内側の壁にコレステロールが溜まり、血管が盛り上がって狭くなり、それとともに血管が硬く、そして脆くなるのです。そのため、血液の流れが悪くなったり、盛り上がった部分が破れてしまい、中の脂質と血液が混ざることで血栓(血のかたまり)ができて詰まってしまったりするのが大きな問題となります。
動脈硬化は年齢と共に進行しますが、さまざまな危険因子によって進行がさらに促進されてしまいます。ですから、それらの危険因子を除いてやれば、進行を遅らせることができます。高血圧が動脈硬化の大きな危険因子の一つであることはよく知られていますが、脂質異常症も重大な危険因子です。脂質異常症は、自覚症状がまったく無くても、早期に治療を始めることが重要です。
脂質異常症の治療
脂質異常症の治療は、冠動脈疾患など明らかな動脈硬化の病気が無い場合には、生活習慣の改善と薬物療法が基本です。生活習慣の改善は、血中脂質を下げるだけでなく、動脈硬化の進行防止にも役立ちます。
生活習慣改善の主な内容は、禁煙、バランスのとれた食生活、適正体重の維持、適度な運動などです。なかでも特に重要なのが食事(食事療法)であり、これは適正体重の維持とも深く関わります。
痛風の原因となる高尿酸血症
高尿酸血症は、内臓脂肪の蓄積によってもたらされる病気です。
内臓脂肪が蓄積されると、その脂肪細胞からたくさんの遊離脂肪酸が分泌されます。それが血流に乗って肝臓に運ばれると、プリン体の代謝を過剰にし、その老廃物である「尿酸」がたくさんつくられるようになります。血液検査によって尿酸値が7mg/dL以上確認されると、高尿酸血症と診断されます。この状態が長い期間続くと、痛風や尿路結石といった激痛を伴う病気になりやすくなります。
高尿酸血症の国内の患者数は、現代では500万人以上と言われており、痛風患者の10倍以上です。その7割程度にメタボリックシンドロームの可能性があると言われています。
前述のように、高尿酸血症が進行していくと、結晶となった尿酸が関節・足先や耳たぶなどに溜まります。そしてその部分に炎症が生じ、激痛を伴う痛風発作が起こります。また腎臓に溜まって結石ができると背中に痛みが生じ、尿管や膀胱に移行すると、その部分で炎症を起こし、激痛を招きます。
高尿酸血症の予防には、食事の量とともにアルコールの量を減らし、脂肪分の多い食事やプリン体の多い食事(ビール・レバー・魚卵など)を控えめにする、水分と野菜を多く摂る、軽い有酸素運動を継続的に行う、といった生活改善が必要です。